日時:2017年9月19日 19:00-21:00
会場:鴨川市ふれあいセンター
幹事:亀田総合病院在宅診療科 大川薫
テーマ:摂食嚥下障害「人工経管栄養を行わない方へのアプローチ法」
内容:
1.人工栄養法とは
2.嚥下障害の原因
3.人工栄養法を行わない事によるメリット・デメリット
低栄養,脱水症,窒息・誤嚥性肺炎
4.誤嚥物の量を減らすために
嚥下機能評価,起きているか確認,準備体操,姿勢,介助方法,食事形態,口腔ケア
幹事から終了後の一言:
10年近く前に,週刊誌の中吊り広告で「親を胃瘻にさせない10か条」という記事を見つけた記憶があります.
その頃から「胃瘻はいわゆる延命なんじゃないか」という社会な動きが始まっていたのではないかと思います.
2012年には日本老年医学会から「高齢者ケアの意思決定プロセスに関するガイドライン,人工的水分・栄養補給の導入を中心として」が発表され,胃瘻などの人工栄養を導入しないもしくは中止する場合のプロセスについて,法的・倫理的側面からも丁寧に説明されています.また,2013年には米国老年学会の「Choosing Wisely」という提言が発表されました.10個の提言のトップを飾るのが,「進行した認知症患者には胃瘻造設は奨めない.その代わりに食事介助による経口摂取を提案する.」というものです.
殆どの海外の研究論文では,認知症終末期では胃瘻で予後は改善しないと結論づけています.
ただ,神経難病や個別性の高い状況の場合にもデジタル思考で「延命」と決めつけてしまうと,安易な治療の差し控えに繋がる懸念もあります.
人工栄養をめぐるこのような文脈にあって,重度の摂食嚥下障害に対する介護の必要性が今まで以上に高まっています..
病院の評価では食べるのは無理と言われながら,介護施設や自宅で食べられるようになった方をご経験されているのではないでしょうか.
自宅でも施設でもどこで療養していもしっかりした摂食嚥下サポートが受けられる.そんな地域基盤あってはじめて,人工栄養をせず口から食べるという慎重で尊厳のある意思決定ができるのではないでしょうか.
参加者数(職種別)、参加施設数:91人