はじめに:
安房医療ねっとは36回を数えます。これまでに在宅療養についてはさまざまな職種の方からのお話がありました。しかし、まだ紹介されていない介護、生活を支える職種があります。今回は、まだあまり知られていない職種にスポットをあててみようと思いました。歯科については以前の定例会でお話がありましたが、一人で診療を続ける歯科医師の先生にその苦労についてお話をいただきました。薬剤師の在宅での役割はこれから期待されることが多いのですが、定例会では未知の世界です。介護ショップ、生活支援は医療保険、介護保険の届かない、しかし生活に重要な職種です。そんな方々に現状と、これからについてお話をいただきました。
日時:2014年11月18日(火曜) 19:00~21:00
会場:安房福祉専門学校 小池ホール (〒294-0007 館山市腰越801-1)
幹事:医療法人社団 桂 七浦診療所 (世話人 田中 かつら)
テーマ:「もっともっと知りたい! 在宅療養を支える人々」
内容:
訪問歯科医師 山本歯科医院 山本 信也先生
訪問診療へ取り組む先生の思いと、その診療の様子をお話しいただきました。一人歯科医師で通常の診療しながら、昼の限られた時間に往診で診療を続けていらっしゃいます。往診できる患者さんが限られていること、機材も少ないため診療に限界はあると。一人の患者さんに多くの方がかかわる現在の医療、介護の現状では、多職種との連携、情報の共有が必要で、またその情報が素早くやりとりする必要は、歯科も同様であるとのことでした。
これから在宅での歯科診療の必要性は多くなります。また誤嚥性肺炎の予防についても口腔ケアは重要です。往診ができる歯科医師の人材育成も今後の課題だそうです。訪問歯科医師の必要性については、この会からももっと声を上げてもよいのではと感じました。
訪問薬剤師 ひまわり薬局 安田 典弘先生
在宅療養における薬剤師の仕事とは…。知っていそうで、実はあまりまだよく知らないのが現状です。在宅では薬剤師さんはどんなことをするのか?その前に、薬剤師さんの仕事はどのような内容か?基本的なところからお話しいただきました。薬剤師からみた在宅療養がどのようなものかを知る、そして多職種と情報を共有する。その重要性について理解することができました。薬は飲むものと思い、医師は処方しますが、飲めないのはなぜか?そこから見えるその方の能力、介護力、生活力など、薬剤師さんからの情報をどう活用するかは、これから薬剤師さんを認識することから始まるのだと思いました。
介護ショップ ふきのとう 青木 祐介さん
介護ショップとのお付き合いはケアマネージャーさんを介してがほとんどですが、実はこの仕事は奥が深い。在宅で生活するために、どの福祉用具が本人に合っているのか?理学療法士の資格をもつ青木さんが展開する介護ショップからみた在宅療養とは。私たちが情報提供をしていくことで、さらによりよい生活がおくれると思い、その連携の仕方を探りたいと思い、お話をいただきました。
福祉用具専門相談員とはどのような資格か?適切な福祉用具を選択するために必要な情報は?担当者会議にも出席されて、その方のよりよい在宅療養を支えていることを知りました。福祉用具専門相談員が一企業の職員に留まらない活躍が、この地域にももっと必要であると感じました。
生活支援サービス まきの実 鈴木 美香さん
来年度から介護保険の仕組みがまた変わります。在宅での生活を維持するために必要なサービスが限られる可能性もあります。在宅療養をサポートする生活支援サービスについて赤門ヘルスケアグループから立ち上げた株式会社まきの実より通所相談員、管理者である鈴木さんにお話しいただきました。生活に密着した活動について、そして医療や介護ではできないことはどんなことかを知るよい機会でした。
介護保険の認定されていない方々は、私たちの支援が届かないところにいます。買い物、草刈り、通院などなど、今日から必要な生活のひとつひとつをケアしていくサービス。お金がかかることではありますが、低料金で細かい要望に応えていく内容は高齢者の多いこの地域ではどれも必要です。企業としてはまだまだご苦労はあるようですが、これから成長が期待される分野だと思います。まずこんなサービスがあることを認識してもらい、生活に密着して発展してほしいなと思いました。
幹事から終了後の一言:
インフルエンザが流行し始まった11月中旬でした。それにもかかわらずたくさんの方にお集まりいただきました。ありがとうございました。そして、新しい会場をお貸しいただいた安房福祉専門学校の方々に感謝申し上げます。
ここ数回の定例会とはすこし形を変え、多職種の「多」に焦点を当てて、まだあまり知られていない仲間たちの活躍をご紹介できたと思います。いかがだったでしょうか?会が終わってから、発表された方々から、その後の反響が大きかったと報告いただきました。幹事の私が知りたかった内容でもあり、私がもっとも勉強させていただきました。これからの医療、介護、生活に役立つ知識になることを願っています。
参加者数(職種別)、参加施設数:合計99人(医師 10人、歯科医師2人、看護師13人、薬剤師1人、鍼灸師 1人、歯科技工士 2人、歯科衛生士 2人、保健師 1人、介護福祉士 1人、介護士1人、福祉用具販売専門員 2人、生活支援員3人、ヘルパー 12人、ケアマネ 11人、SW 20人、コーディネーター 1人、管理者 6人、総務 1人、医療事務 7人、医薬品関係 1人)
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